「ムク」
名前を呼ぶと
ゆっくり身体を起こして
側に来てくれる
保護当時のように
飛び付いて甘える体力が
今は もう ない
それでも
シッポをパタパタと振り
静かに甘えてくれる
お腹は
もうこれ以上膨れないほど
パンパンに膨れて
医師も、もう
どうしようもない、、、と
利尿剤、心臓の薬 が処方され
毎日 投与。
有り難いことに、食欲はあるから
薬も肉と一緒に
飲んでくれてる
一度は だいぶん良くなってた皮膚は
体力と、抵抗力の低下により
また
酷くなってきた…
「性格もバツグンだし
リードの引きを矯正して
お座りと、待て を覚えたら
大型犬でも飼育が楽だからね～(^-^)」
って、叔父さんに調教の為に預けてた
リードも引かず
横をべったり歩くようになり
お座りも、待ても
順調に出来るように
なった
でも、もう ムクには
あまり
時間がないんだって……
獣医が 言った
叔父さんと叔母さんは
「調教」を辞めて
ムクの好きなように
穏やかに 時間を過ごせるように
苦しくないように
少しでも… 些細な事でも良い…
喜びを感じて過ごせるように、と
見守ってくれてる
留守番が長い うちでは
ムクの急変に気づかないから、と
ムクの病院にも
連れて行ってくれてる
時おり、上を向き咳き込み
苦しそうに 呼吸する事もある
ボロボロになるまで
使われ
捨てられたムク。。。
ガリガリの身体を
優しく撫でて
「よし！
お前も幸せになるために
頑張るぞ！」って
毎日
毎日
一緒に歩いてくれた叔父さんに
絶対的な信頼を 寄せている
ムクは
叔父さんの車があがってくる坂道を
じっと見つめながら
待ってる
ムク
今日は天気が良いね
お散歩が 大好きな ムク
喉かな田んぼ道を
歩くのが大好きなんだよね
ムク
日陰だと 風が涼しくて
気持ちいいね
ムク
自分の名前も 覚えたんだよね
ムク
もっと 早く
出会えてたら…………
人間社会に 利用され続けてる
小さな【命】たち
ボロボロに されても なお
私たち人間を信じようとしてくれる
この子の
真っ直ぐな目に
何も言えず
ただ、名前を呼び
ゆっくりと預けてくる顔を支え
撫でてあげることしか
私には
できなくて。。。
命を断たれる寸前で
もう一度
この青空な下
歩いて 出てこれた
本当に、信頼できる【人】に
出会えた。
どうか、、、
どうか、、、
ムクが これ以上
苦しまなくて良いように
ムクが
少しでも
穏やかに過ごせるように
せめて
この祈りが
届きますように