ボクの名前は 【キキ】
ボクらは、山で産まれたんだ
たくさん仲間がいたんだけど
ある日、知らない人が来て
僕と妹だけ、車に載せて
知らない場所に連れて来たんだ
僕たちは、ただ怖くて
皆で過ごした所に帰りたくて
妹と くっついて 震えていた
お母さんに
会いたかった…
毎日、毎日
たくさんの “仲間”が連れて来られて
みんな
檻の中で 大きな声で 叫んでいた
ある日、知らない女の人が来て
僕らに「大丈夫よ、一緒に帰ろう！」って
話しかけてきた
そして
僕らは
小さな箱に入れられ
また、どこかに連れて行かれた
僕らを どうするの…
僕らに 触らないで…
広いお家
今までいた檻の中は
毎日、床が水で濡れていたけど
ここは、冷たくない
食べるものもあって
フワフワした柔らかい ベッドもあって
のぞみ って呼ばれてる女の子がいて
僕らに優しくしてくれたんだ
「安心して いいんだよ」って
のぞみが 教えてくれたんだ
でもね、ボクらは、ずっと
“仲間たち”と過ごしてきたから
お母さんと引き離した
ヒト が、怖くてたまらなかった
リード ってのを付けられて
知らない場所を引っ張られた時は
怖くて 足が 立たなかった
“お散歩”の練習だって
ここのお家の ママさんが言ってた
ボク、頑張ったんだ
ボクの知らない世界だけど
信じてみようって
頑張ったんだ
車がたくさん通る道が怖くて
パパさんに抱かれていた散歩道も
歩けるように なったよ
大きな音は怖いけど
皆が ついてくれてるから
怖くない
誰もボクを 傷つけない
空も
風も
土も、草も
ボクは 日に日に好きになっていったよ
【続く】
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キキ の 歩 ～パート１～
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